何事も「盗人を見て縄をなう」のでは遅すぎます。普段読書すらもしない性格の人が、いきなり理解が難しい法律書を何冊も紐解くのは難しいですからね。「法は家庭に入らず」という名言があります。介護、進学、就職、借金、結婚、出産含めてすべて、家庭内で厄介事が起きたら、家庭内で全部済ませてくださいという意味合いです。「遺品処理」の段階になってもいつまでもいちいちプロの手を借りることは避けたいものですね。
「法は家庭に入らず」を踏まえた上での、田舎の土地相続の手続きについてです。家族構成が父親、母親、長女、次女で、父親が亡くなった場合、法定上母親が一番手で、長女が二番手で、次女が三番手で家を継ぐことになりますが、子供のうちの誰かが結婚や就職で家を出てしまっている場合、親族のうちの誰かが継ぐという形になります。例えば、母親は健在だが入院中。長女の職業が雑誌編集者、田舎まで車で5時間の地域に在住。
次女が地元で就職して結婚している場合、母親や長女よりも次女に継がせた方がスムーズです。長女には「地元で立派に家を継ぐために田舎にも出版社や町工場をつくるべきだ」という声も上がるでしょうが、法的にはそこまでの義務はありません。問題なのは父親が「遺言書無し」「遺言書をつくる知識無し」「遺言書をつくるやる気無し」の三無で亡くなってしまい、子供が全員結婚や就職で家を出てしまっている場合です。田舎の父親が突然「三無」で亡くなってしまっても「放棄する」「老親が一人になるのをわかっていて最後に家を出た子供の配偶者を後見人に任命する」などの方法があります。父親の死後まで「良い子供」を演じる必要はありません。むしろ継ぎたくないのであれば「理由」を明確にして、残された親族に書面で明確に伝えれば、望むものがすぐに手に入るはずです。